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明るい話 その(1)

2005/12/04の日本海新聞紙面より


最近将来が暗い、暗いといわれている分野、テーマでありながら、私が明るい展望を持っているものの一つが農業です。


- 展望開ける農業 -

ご案内のとおり、日本の農業は今重大な岐路に差し掛かっています。農業者の高齢化・後継者不足、WTOに象徴される外圧、農産物価格の低迷、食の安全問題等々重要な課題が山積しております。国の農業政策も、食糧自給率の向上、農業の持つ多面的機能の強調などの基本路線を踏襲しつつも、平成十九年から競争力のある担い手に注目した品目横断的経営安定対策へと大きくかじを切ります。
私としては、これらの政策を通じて日本の農業が、価格はともかく品質の面で従来通り世界最高水準を維持し続ければ、そう遠くない将来必ず明るい展望が開けてくると考えています。


- 高品質キーワード -

大きな理由は中国の成長です。中国は成長し始めるとどんどん勢いが付いて止まらない国です。特に教訓を学ぶべきは、最近の日中の製鉄業の歴史です。新日鉄が上海の宝山製鉄に技術協力した当初、いたずらに日本のライバルを育てるというマイナスの評価がありました。しかし実際に起きたことは、中国人民が鉄を使う便利さに目覚めた結果、比較的短期間のうちに中国の鉄の需要が急増・爆発し、そのうちの最も高品質の鉄に対する需要が日本に回って来ることによる日本の製鉄業の空前の活況でした。
キーワードは高品質です。中国の総人口十三億人の鉄に対する需要のうち最も高品質を求める需要は日本の技術を必要とし、しかも日本中の製鉄所がフル操業しても足りないぐらいの量を伴ったということです。


- 中国の需要爆発 -

農業分野でも同様のことが起こる可能性は十分です。例えば、数年前にわが国は中国からの安い白ネギの輸出に対して暫定的にセーフガードを発動しましたが、今後白ネギの味に目覚めた中国人民の白ネギに対する需要が急増してわが国からの輸入が始まる可能性は十分です。既に日本から輸出された最高級の二十世紀梨が中国や台湾で日本国内よりも高価で取引されている例があることに照らせば特に不思議はありません。今後数年以内に中国において、鉄と同様、世界最高品質の農産物全般、さらには農水畜産物全般に対する需要が急増し、価格が高くても外国から買う、輸入するという状況が出現すると思います。
食における最高品質とは言うまでもなく安全で美味しいということです。世界で、特にアジアで最高品質の農水畜産物は日本にあります。発展途上国である中国経済の景気の波が大きいことは肝に銘じておく必要がありますが、中国人民十三億人の食に対する需要の爆発によりわが国の農水畜産業者が次の勝ち組になる可能性は高いと考えます。

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