「公開討論」
2008/1/06の紙面より
昨年十二月十六日の本コラムに民主党の議員が書かれた内容が、国会質疑における民主党法案提案者の説明と異なるので、農業関係者の皆さまのために問題を提起します。
同議員は、民主党の農業者所得補償法案によれば「コメ(六十キログラム)について言えば、販売価格が一万四千円で生産コストが一万九千円であったなら、五千円を支払います。まことに明快です。小麦、大豆も同じです」と書かれました。さらに同様の発言を本紙の新春座談会でも繰り返されました。
しかしながら、昨年十二月十二日の衆議院農林水産委員会で、民主党法案提案者は「生産費と農家の手取り価格の差額を全額補てんするというのは必ずしも適切ではない」「所得補償については、全額所得補償をしなければならないという前提には立っておりません」と発言しています。
- 全額補てんではない -
解説致します。昨年十一月末に、民主党の法案提案者が発表した「農業者戸別所得補償金算定の基本的考え方」は、民主党法案の所得補償は(地域ごとの)「標準的な生産費と標準的な販売価格の差額を基本として補てんする交付金」であると明記しています。
さらに、米については、小麦や大豆と異なり、生産の抑制が必要なため、標準的な生産費のうち家族労働費は八割しか補償しないとしています。換言すれば、民主党法案の所得補償だけでは、地域ごとの標準的な生産費を上回る高コストの農家(ほとんどの小規模農家)は差額を全額補てんしてもらえず、毎年赤字を続けることになります。
麦、大豆については、地域ごとの標準的な生産費までしか補てんされず、さらに米については、地域ごとの標準的な生産費さえ補てんされないのだから当然です。しかしながら、現在、ほとんどの農業関係者の皆さまが、地元の民主党の議員の説明を真に受けて、民主党法案の所得補償はすべての対象農家の赤字を全額補てんすると信じておられるのではないかと私は懸念しております。
- 早急に誤解解消を -
その他、同リレーコラムが「この法律はほぼすべての農産物と販売農家が対象です」としている点も問題です。民主党が発表した所得補償財源一兆円は野菜農家や果樹農家への支払いを予定しておらず、そもそも畜産農家は法案対象外ですので、不正確ではないかと私が昨年十二月十九日の衆議院農林水産委員会でただしたところ、民主党法案提案者の回答は「いずれ、誤解が生じないように説明をするということでございます」でした。「いずれ」ではなく、早急に誤解を解いて頂きたいです。
さらに、民主党法案は、昨年七月の参院選の一年以上も前から、一貫して生産調整の実施を明記してきたのに、参院選期間中だけ「生産調整廃止」(=米を好きなだけ作ってよい)と特記した選挙ビラを配布した点も含めて、事実に即した「明快な」ご説明を頂きたいものです。
※このホームページのリレーコラムについては、縦書きの記事からの転記のため、このような漢数字の記述となっております。