1. 基本的考え方

 今、国民が求めているのは安心であり、その中でも、「(1)緊急事態宣言はいつ終わるのか?」、「(2)それまでお金がもつか?」、「(3)もし感染したら薬は手に入るか?」の3点の関心が高いと考える。この3点で国民に安心をもたらすことができれば国民の不満のかなりの部分を解消できるものと信じる。以上を踏まえて、この3点について以下のとおり提言する。

2. 具体的提言

(1)緊急事態宣言はいつ終わるのか?

 新型インフル特措法に総合調整が規定されている以上、国と都道府県の役割は厳格に排他的なものと考えるべきではない。同特措法の本来の趣旨に則り、国と都道府県がしっかり総合調整すべきである。

 そのうえで、西村大臣が「データに基づいて緊急事態宣言の解除の時期を検討する」旨ご発言されたとおり、データに基づく出口戦略を策定し、国民に分かりやすく説明すべきである。

 5月14日、同21日に経過報告する予定のようだが、その際の緊急事態宣言の解除の判断の基準となるデータの種類とそれぞれの目標値をあらかじめ提示のうえ、それに照らして分かりやすい報告とすべきである。

 

(2)それまでお金がもつか?

 5月4日の衆議院議院運営委員会において、西村大臣の緊急事態宣言延長の事前報告を踏まえて提言したとおり、政府はただちに令和2年度第二次補正予算の編成にとりかかるべきである。そのうえで、さらに以下の3点を提言する。

1 資本注入

 金融システム不安につながりかねないため、細心の注意を払いつつ、企業の規模を問わず、資本が毀損しないように資本注入を行う。

2 雇用調整助成金

 6月末までの約190日にわたる雇用調整助成金はまさに企業の命綱であり、極めて重要である。しかしながら、現時点において、金額上限と窓口対応という2つの大きな問題を抱えている。

(金額上限)

 全額助成と謳いながら上限8,330円を設けたことで、残念ながら一部の国民から嘘つき呼ばわりされている。「汚名挽回」のために大幅な上限引き上げをすべきであり、結論から言うと、雇用調整助成金の上限を一気に現行の2倍(16,660円)にすべきであると考える。これにより月額約35万円となり、英国の月額最大2,500ポンド(約33万円)と比べて全く遜色のない水準となる。

(窓口対応)

 雇用調整助成金の申請窓口対応も申請者と社労士双方の大きな不満を呼んでいる。「4時間待たされたうえ書類不備で出直せと言われた」などの怒りの声は後を絶たない。最大の問題は、労働局やハローワークが、これまでとは比べものにならないほど手間のかかる全く新しい業務を請け負ったつもりにならなければならないことを理解していないことである。業務の量だけでなく質も激変しているのである。

 すなわち、これまでの雇用調整助成金の受付業務の大半は、製造業を営む企業の勝手知ったる担当者が用意したほぼ完璧な提出書類を捌く仕事だったが、現在は、これまでどおりの提出書類を求めたところで、例えば、初めて申請する飲食業の経営者本人が不備の多い書類を持参するため、1件当たり4時間かけても終わらないような仕事になっているということを理解しなければならない。

 上記の理解に立って、雇用調整助成金受付の仕事のやり方を根本から見直さなければならない。とりあえず、当面の火事場が続く間、ほぼ全ての提出書類の省略を認めるべきである。すなわち、現在のように、初めての申請者に11種類の書類に加えて「その他、公共職業安定所長が必要と認める書類」の提出を求めるようなことは直ちに中止して、性善説に立って、例えば、給料の銀行振込の領収書と労働保険料納入通知書の2種類の書類のコピーの提出で足る取り扱いに切り換えるべきである。

3 固定費負担の軽減(家賃の軽減を含む)

 無利子・無担保の貸付・融資と特別家賃支援給付金を組み合わせたハイブリッド型の中小企業者等に対する家賃補助スキームを支持するが、支援対象を光熱費などの公共料金を含む固定費にまで拡大すべきである。

 

(3)もし感染したら薬は手に入るか?

 高齢の国民や基礎疾患を持つ国民の関心が非常に高い。分かりやすく言えば「もし自分が感染したら命にかかわるかも知れない。だから感染初期にアビガンを投与してもらいたい。どうすればアビガンを入手することができるのだろうか?」ということである。その裏返しとして、政府が信頼できる十分な情報を発信して分かりやすい説明をしなければ、非常に大きな不安や不満につながりやすい。

 残念ながら、これまでのところ、厚労省の発信は不十分なうえに大変分かりづらいものであり、政府の広報戦略として大変まずい状況である。その結果、安倍総理の「既に3000例近い投与が行われ、臨床試験が着実に進んでいる」との発言などを受けて、国民の一部に疑心暗鬼が生まれ始めており、ツイッターで「厚労省にコネのある人は、もうみんな飲んでます」などというトンデモリツイートが確認されている。

 以上を踏まえて、安倍総理が「既に3000例近い投与が行われ、臨床試験が着実に進んでいる。有効性が確認されれば、医師の処方のもと使えるよう今月中の薬事承認を目指したい」と言及した「観察研究」について、厚労省は、その制度自体の分かりやすい説明と明確な見通しを国民に向けて発信すべきである。

 上記よりはるかに本質的な問題として、今後、抗インフルエンザウイルス薬の選択肢が増えることはとても良いことであるが、それぞれの薬の効能や副作用などを念頭に置きながら、しっかりと議論のうえ、投与の優先順位を決めておくべきであると考える。その際、一般論としては、重症者はもちろん、医療関係者や災害救助者などエッセンシャルワーカーも優先投与の対象とすべきである。

以上

令和2年5月7日     

衆議院議員 赤澤 亮正